佐久島ライフレポVol.12

佐久島しおさい学校 教諭小田 剛司さん

佐久島の先生、3年目

地域全体に感謝の日々

へき地教育に携わりたくて、3年前に尾張地区から異動してきた小田先生。海のない町、稲沢の出身です。島も山もいいけれど、島ならより嬉しいと思っていたら、念願かなって三河湾に浮かぶ佐久島へ。

 

狭い、近い、楽しい

小田先生は、新任の頃からへき地教育に携わりたいと思っていました。稲沢市の中学校を経て、一宮市内の小学校と中学校でそれぞれ勤務した後、ついに望んでいた離島への赴任が決まりました。佐久島の学校へやってきて、今年で3年目となります。

とはいえ、日間賀島や篠島のことは知っていたけれど、佐久島のことは全く知らなかったそうです。初めて佐久島を訪れた時の印象は、「建物が少なく道が狭い」「でも山と海に囲まれた、とてもいいところ」でした。

最初の年は小学校5・6年生を担任。島の子どもたちは、それまで担任した同学年の子どもたちよりもあどけない感じがしたとのこと。でも、本土の子たちが指名されたら発言するケースが多いのに対し、この学校の子たちは少人数教育で発言する機会が多いせいか、積極的に発言するのに驚いたそうです。

小田先生の専門教科は国語。現在は小学部に所属し、小学校3・4年生の担任と、小学校4年生の国語および中学校1・3年生の国語を受け持っています。中学校だけでなく、小学校も教科担任制です。担任のクラスは道徳や総合的な学習の時間も担当します。

佐久島の学校の最も印象的なところは、先生と子どもの距離がものすごく近いこと。それまでの学校、特に中学校ではかなりの距離を感じましたが、ここでは大きく違います。おんぶされにきたり手をつないできたり、まさしく距離ゼロでくっついてきます。最初のうちは遠慮がちなしおかぜさん(本土からの通学者)たちも、島の子に感化されてそうなっています。さすがに今年はコロナの関係で、適切な距離をとっていますが。

 

少人数教育のメリットを最大限に!

 

佐久島の子どもたちのコミュニケーション力は抜群です。島の大人たちみんなが暮らしの先生でもあることから、大人たちとも親密です。ただし、ふだん少人数で活動しているため、慣れない場所や大人数を前にすると少々おとなしくなってしまうこともあります。

40人の子どもと5人の子どもを指導するのとでは大きな違いがあります。宿題一つとっても5人ならば一人ひとりじっくり見られます。「学習が身についたという手応えもダイレクトに返ってくるので、やりがいもひとしおです」と小田先生は言います。

もちろん、少人数ならではの課題はあります。比べる対象が少ないので、学力や運動能力のレベルが大人数の中でどれぐらいなのかわかりません。だからこの小集団の中で慢心してしまいがちです。できるだけ視野を広げられるよう、小学生は本土の学校との交流授業、また中学生は部活の対抗試合など、島外の子どもたちとふれる機会を設けてきました。ただし、やはり今年はそれもままならない状態です。

 

先生の生活にも変化が!

小田先生は赴任と同時にこの島で一人暮らしを始めました。終業後のスケジュールはほぼ埋まっています。月曜と金曜は大人のスポーツクラブ、木曜日は子どものスポーツクラブ、火曜は西集落の太鼓の練習、週末は帰省や買い物で本土へ。唯一何もない水曜は、島の暮らしを満喫しています。

ところが昨年の秋から、その生活が変わりました。やることが変わったわけではありません。結婚されて奥様と2人暮らしになり、2人であれこれやるようになったのです。ちなみに奥様は最初、船での通勤や買い出しに慣れなかったとのことですが、今ではすっかり慣れ、島での生活を楽しんでいます。ご近所からの野菜や、鰆、たこ、わたりがになどの魚介類のいただきものが多いのは以前と同じです。

 

島の人へ恩返ししたい

3年目を迎え、佐久島勤務に期限があることを意識するようになった小田先生。「島の人に本当によくしてもらって、何とか恩返しがしたい。保護者の方々はお子さんやご家庭のいろいろなことを腹を割って話してくれます。短期間とはいえ、島の住民として見てくれている気がします。最後までしっかり子どもたちと向き合っていくこと。そして、ここで地道にやってきた姿勢を別の場でも貫いていくことが、一番の恩返しです」と語ります。

小田先生の楽しみは、木曜のスポーツクラブで子どもたちと遊ぶこと。癒しの時間なのだとか。またお気に入りの場所は、釣り場にしている西港。釣った魚はさばいて食卓に。佐久島の暮らしを思いっきり楽しんでくださいね。