地域おこし協力隊 池部さん 年間の活動

2021年7月から、地域おこし協力隊のメンバーとして佐久島で活動を続けている池部さん。年間を通じてどんなことをしているのか語っていただきました。

 

イベントや、その準備のお手伝い

池部さんは3年余りにわたり、佐久島で地域おこし協力隊の活動をしています。季節によってその内容は異なりますが、多くは島内で開催されるイベント関連のお手伝いです。イベントそのものだけでなく、イベント直前の会場およびその周辺の草刈りやゴミ拾いなども大切な役目。佐久島は近年急速に人口が減少しており、かつ高齢者の比率が高いため、若者は何をするにしても常に重要な戦力となります。

秋は、イベントが盛りだくさんの時期でもあり、活躍の場が多くて忙しい日々ですが、毎年行われる行事が多いため、少しは勝手もわかってきました。

 

お手伝い春夏秋冬

◎春:佐久島ではオリジナルの芋焼酎を作っているので、毎年、春はまず芋畑の準備からスタート。4〜5月にかけて苗作りや水やり、畑をトラクターで耕すなどの作業を行います。
春の恒例行事と言えば弘法さんの祭り。アートイベントとして弘法巡りウォーキングが行われます。事前に弘法さんの祠にお菓子を置くお手伝いも、隊員の役目の一つ。弘法ウォーキングに同行することもあります。また昨年と今年の春は、ロータリークラブによる桜の植樹をお手伝いしました。今年は海水浴場の広場を囲うような形で10本ほど植えました。

 

◎夏:午前中や週末には海水浴場の監視依頼があります。隊員が交替しながら担当しています。午前9時から管理棟を開けるのですが、去年と今年は酷暑のため屋内で過ごすことが奨励され、海水浴場は少々淋しい状態でした。

 

◎秋:秋は名月十五夜祭(白山社祭典)や秋の大祭(八剱神社祭典)といった伝統の祭りのほか、太鼓フェスティバルなどのイベントも行われます。伝統の祭りには、地域おこし協力隊というよりは島民として参加するそうです。

もちろん事前の草刈りなどは協力隊として行いますが、伝統の祭りは昔から島をあげてやっているのでお手伝いはさほど難しくなく、他の新しいイベントのほうが大変とのこと。島外で行われるイベントに、佐久島振興課の人と共に参加することもあります。

また、秋は芋の収穫があり、収穫して農協へ持っていきます。芋は主に焼酎作りに使われますが、昨年は焼き芋用と焼き芋プリンの試食用に使われたとのこと。
そのほか、今年は島内での電動カートの試運転にも協力しています。

◎冬:冬もイベント中心の活動。かくれみの伐採(学校)、梅の剪定、黒壁塗り(島を美しくつくる会)など、協力を求められる機会が結構あるとか。年間を通して、隊員の間で明確な分業はありませんが、苦手なことよりも得意な分野を任されることは多く、「僕の場合は体力を必要とする作業が多いですね」と、池部さんは笑います。

 

 

「卒業後」を見据えて

池部さんは令和6年度いっぱいで協力隊を卒業しますが、その後も佐久島で暮らすことに決めました。まだご結婚まもない状態で、奥様はつい最近佐久島にいらっしゃったばかり。

この島で隊員として3年以上を過ごすうち、最初の頃より具体的に将来のことを考えるようになりました。離島生活の大変な面を知った上で、ここで暮らすことの楽しさを実感し、定住を決意。でもこの島で生計を立てていくのは決して簡単なことではありません。今は協力隊としてお手伝いを頑張りつつ、将来を見据えて、漁師さんや民宿や食堂などの現場を見たり手伝ったりしながら様々なことを学んでいる最中です。

アートの島として注目され、多くの人が押し寄せた時とは、コロナ禍も経て明らかに状況が変わりつつあります。大勢の人が訪れるのを待つ時代ではないと、池部さんは思うようになりました。

まだ模索の途上ではありますが、来島するお客様をアテにするのではなく、できれば佐久島ならではの食材(海産物なら大アサリや牡蠣、また島野菜など)をブランド化し、その素晴らしさをSNSの活用で効果的に発信し、様々な販売方法やシステムを作り上げていけたらと考えているそうです。