佐久島ライフレポ Vol.19

佐久島でゆったり生活&ものづくり オリバー・リーさん

 

2023年の夏から佐久島に移り住み、木製の茶道具などを作りながら、息子さんと一緒に島暮らしを楽しんでいるオリバー・リーさん。佐久島にやってきた経緯や、島での生活についてお聞きしました。

イギリスからボランティアで西尾市へ

オリバーさんはイギリスのハンプシャー出身。高校卒業後の休みを利用して保育園でアルバイトをしたのをきっかけに、大学に入る前の1年間、ボランティアで海外へ行こうと考えたのですが、その手続きが遅れたため行き先が限られ、それが日本の西尾市だったのだそうです。


最初から日本に興味があったわけではなく、西尾市にやってきたのも偶然だったというオリバーさん。西尾市にて6ヶ月間の期限で保育のボランティアをした後は、足利市へとボランティアの場を移しました。その後1年間はイギリスに戻ったのですが、西尾市とのご縁は切れていませんでした。実は、西尾市で出会った女性との結婚が決まり、イギリスではなく日本で暮らすことになったのです。それが現在の奥様である由里香さんです。

 

 

名古屋、岡崎、そして西尾の佐久島へ

こうしてオリバーさんは、再び日本で生活するようになりました。当初の生活拠点は名古屋。ご本人は英会話講師として、由里香さんは会社勤めをして生計を立て、しばらくして西尾市に戻りました。ただし勤務地が2人とも岡崎市内だったことから、利便性を考えて岡崎市に引っ越し、そこでしばらく生活しました。

岡崎ではALTの他に、自営業も始めたそうです。ものづくりをしたり、子どもを預かってプログラミングなどを教えたりしましたが、徐々にものづくりが中心になり、作ったものを販売するようになりました。

しかし、名古屋ほどではなくても岡崎も大きな街。もっと自然豊かで静かなところで暮らしたいと思い、場所を探し始めました。いずれは田舎暮らしをと、以前から由里香さんと話していたとのこと。山あいでも海辺でも良かったのですが、息子さんの史聖くんが「佐久島なら住んでみたい」と言ったのが、この島への移住の決め手に。それまでに何度か遊びに来たことがあり、気に入っていたそうです。

こうして2023年の夏から、オリバーさんと史聖くんは佐久島暮らしを始めました。

 

 

佐久島で、ものづくり

オリバーさんは主に、木材を使った作品を作っています。もともと木製の工芸品作りが好きで、イギリスにいた頃からテーブルや小物などを作っていたとか。いま最も多く手がけているのは茶道具です。岡崎にいた時から史聖くんが茶道を習い始め、和菓子切りをほしがったのがそのきっかけでした。あれこれ探したものの気に入ったものがなく、しかも高価だったため、自分で作ることにしたのです。


 

作り方は「もの」をじっくり見たりネットで調べたりして、自分で学んできました。何度も失敗し、試行錯誤を繰り返しながら修得してきたそうです。

茶道具作りに限らず現在は職人が少なく、弟子入りできる環境はほとんどありません。またネットなどからの情報が誰でも得られる時代なので、弟子入りしたいと思う人も少ない現状です。結果として、工芸品を作る人自体が減ってしまっています。でもオリバーさんのようにものづくりの好きな人にとっては、活躍のチャンスがあるとも言えます。

「佐久島に住んでいるのだから、材料もできるだけ島のものを使いたい」とオリバーさん。メイドイン佐久島の作品がいっぱい生まれるといいですね。

オリバーさんは主にオンライン販売をしています。「こういうものを作ってください」という依頼も入るそうです。個展を行うことでお客様と出会い、リピーターになっていただくことが多いといいます。ただし販売するようになってから日が浅いので、まだ大きな収入を得るには至っていません。

 

 

家族いっしょに暮らすために

オリバーさんにとって今いちばん淋しいのは、今はまだ史聖くんと2人暮らしであること。奥様が会社勤めで、現状では在宅勤務が難しく、やむなく平日は離れ離れの生活をしています。オリバーさんは「本土から島への渡船に、もう少しだけ遅い時間帯の便があればいいのにね。もしそうなれば、僕たちも家族いっしょに暮らせるし、島の人みんな、職場だけでなく高校へも通いやすくなって助かると思う」と語ります。

 

島暮らしそのものは、オリバーさんも史聖くんも満喫しています。作品を作ったり、家の手入れをしたり、山の方へ行ってのんびりしたり、毎日自分たちのペースでゆったりと暮らしています。島内の友人もできて、一緒に食事を楽しむことも。史聖くんもすぐに学校生活に馴染んで楽しんでいるそうです。

「岡崎での生活と同じような便利さを求めたらたしかに不便だけど、そんなこと最初から求めていない。野菜や魚は島の人にいただくことが多くて困っていないし、足りないものは本土へ買いに行きます。ご飯は自分で作るよ。結婚した時から家事はやっている。イギリスではみんなそうだから。史聖もよく作ってくれるよ」とオリバーさん。これからも思いっきり佐久島ライフを楽しんでくださいね。

 

 

「佐久島での暮らし」に興味がある方は定住促進ガイドをご覧ください。

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