佐久島ライフレポVol.10

 


佐久島しおさい学校 副校長 井上 勝哉さん

 

あったかい佐久島に、

今年また戻ってきました!

昨年度より佐久島の学校は、小学校課程から中学校課程まで義務教育を一貫して行う義務教育学校「佐久島しおさい学校」となりました。以前は小学校の先生として赴任。そして今年、しおさい学校の副校長として島に戻って来た井上先生。驚きと感動の毎日とのことです。

 

いつのまにか中学校の教師に

井上先生の生まれは熊本。ご家族の仕事の関係で岡崎にやって来て、小学生の頃から西尾で暮らすようになりました。教師になろうと決めたきっかけは、大学時代の教育実習です。工業デザイナーを目指していましたが、実習を通じて教師になりたいという想いが膨らんだそうです。

旧西尾市内の複数の中学校で長らく勤務した後、25年目にして幡豆エリア、しかも初めての小学校へ。校務主任を務めたので担任はなく、これでもう担任を受け持つことはなくなると思っていましたが、その次の赴任先は何と佐久島小学校。それまで職員旅行で来たことがあるだけの、ほとんど縁のなかったこの島で、初めて小学校の担任になったのです。少人数だけに、子どもたちと親密な関係を築くのが楽しみでした。

 

島ではびっくりすることばかり

赴任するや驚きの連続! 担当したのは低学年のクラスで、少人数どころか1年生がたった1人だったのです。この1人の子に自分の指導がどれだけ理解されているかわからず、他の先生のアドバイスを聞きながら授業を行うのは新鮮な感覚だったといいます。

とにかく毎日驚くことばかり。一番びっくりしたのは学校と地域との繋がりの強さです。何しろ島の祭りの日には授業の途中でもみんなで会場まで行くのですから。「やれ奉納太鼓だ」「それ餅投げだ」という具合に。

2年目は中学年を受け持ち、しおかぜ通学の子どもたちも加わって一気に5人に。とてもにぎやかな印象を受けたそうです(笑)。まるで普段の会話のように、子どもたちが気負うことなく自然に自分の意見をどんどん話すのにもびっくり。最初は黙って聞いているだけだったしおかぜの子たちも、だんだんと言葉のキャッチボールができるようになるとのこと。

また、子どもたちは「Aさんはこれについて詳しい」「Bさんはあれを教えてくれる」というように、島の大人たちの得意なこともよく知っていて、それぞれの分野の先生だと思っていることにも驚かされたそうです。

 

本土へ転勤、そして再び佐久島へ

3年後に転勤となり、名残り惜しかったのですが、子どもたちは淡々としているように見え、何となく淋しい気持ちに。ところがしばらくして再び、島に戻ってくることになったのです。今度はしおさい学校という新しい形になった、島の学校の副校長先生として。

井上先生自身は、2度目があることにとてもびっくりしました。1度目の時より驚きが大きかったといいます。島の子どもたちや大人たちの反応が気になりましたが、かなり自然な雰囲気で、「お帰り」と温かく迎え入れてもらえたのです。中には「先生はまた戻ってくると思ってた」という子も。

今回は担任を受け持っておらず、教頭先生とともに校長先生の手助けをしています。今年は新年度早々コロナショックの影響で、なかなか通常の授業や行事ができず、大変な毎日が続いています。予定していたことの多くがやれず、まだ先も読めない状況ではありますが、できる限り子どもたちの発想やアイデアを少しでも実行・実現できるようにするのを、現在の目標にしています。

 

今でも驚きと感動の毎日

井上先生は本土から通勤していますが、たいてい始発と終発の船を利用しています。しかも土日のいずれかは佐久島にいることが多いらしく、かなり佐久島漬けの状態だとか。船に乗って島へ来ること自体、今なお本土の学校へ通勤するのとは違う感覚があります。何年経っても違いはことあるごとに感じられ、そのたびに新鮮な気持ちになるそうです。一度目のカルチャーショックも忘れられないし、二度目は二度目でまた新たな驚きや感動を覚える日々。島の人々に温かく迎えられて、とてもよい経験をしているとのことです。

島内をのんびり散策する暇はないけれど、校舎からの眺望が好きだと井上先生は言います。週末などに校舎の2階やグランドから眺める海はとても素敵。「昼食を食べながらゆったりと海を眺めて、一人の時間を楽しんでいます」と語ってくれました。