佐久島ライフ・レポ Vol.4


oyaoya cafe もんぺまるけ 神谷 芝保さん

自分がもう一人ほしいほど、日々充足!

佐久島西地区の古い民家を利用してできた、手づくり感あふれるカフェ「もんぺまるけ」。「種まきからキッチンまで」を目指し、畑で育てた野菜や島の素材を使ったおやつ(Oyaoya 和菓子)と、オーガニックや自家製のドリンクを提供しています。2010年7月にオープンしたこのお店をきりもりしているのは、名古屋出身の神谷芝保さんです。

佐久島と名古屋で半農半カフェ

芝保さんが初めてこの島にやってきたのは2009年の夏。当時働いていた名古屋のオーガニックカフェのオーナーと一緒に、椿油のことで訪れたのです。(※佐久島には椿の木が多くあり、佐久島中学校の生徒が中心になって、椿油を島の特産品にする計画を進めています)ちょうどそのころ畑をやりたいと思っていた芝保さんは、この島ならできると思い、名古屋と佐久島を行き来しての「半農半カフェ生活」をはじめました。
芝保さんはもともと食物関係に関心があり、栄養士専門学校を卒業して和菓子屋に勤めた経緯を持ちます。アースデイ愛知(現・アースデイ名古屋)立ち上げの際、これに関わっていた人々と出会ったのをきっかけに、自らも実行委として活動するようになりました。その後、マイ箸を広めるべく全国一周自転車旅を敢行。1年ほど旅をして名古屋に戻ってから、先述したカフェで働くようになったのだそうです。

手づくりカフェ、オープン

最初は島内に家を借りて畑だけをしていました。その時点での拠点はまだ名古屋でした。やがてお店を開くことになり、新たに借りた古い家のお手入れがスタート。勤めていたカフェのお客さまを通じて、名城大学建築学科の先生や学生さん、水道工事屋さんなどと知り合い、そのほかご近所さん(島民)を含む多くの人々の協力を得て、手づくりの「カフェ建築プロジェクト」がコツコツと進んでいきました。2010年7月6日のオープン時点では、まだ床は土のままだったし、壁の漆喰が塗られたのもずいぶん後のことです。少しずつ、のんびり、ゆるやかに、今もなおリフォームが続いています。ここまでに手間ひまはかかっていますが、お金はほとんどかかっていません。業務用機器も食器類もいただいたものばかり。大勢の人のあたたかい心でできたお店なのです。
お店がオープンしてからも、しばらくの間は名古屋と島を行ったり来たりしていましたが、徐々に拠点が島のほうに移っていき、完全に島で暮らすようになって現在に至ります。

「何もかもが楽しい」と言える暮らし

お店を手づくりするのは実に大変なことです。壁は腐り床は抜け、しかも建物全体がつるに覆われていて、まさしく「開拓だった」とのこと。もちろん畑仕事もあります。でも「大変なことも含めて、何もかも楽しかったな~」と芝保さんは言います。多くの人と出会い、みんなで何かを作り上げていくことも楽しい。畑仕事も楽しい。お菓子づくりも楽しい。居住スペースと呼べる空間が整ったのはごく最近のことだけれど、「自転車で旅していた頃と比べたら、屋内で寝られるだけで上等。生活そのものはかなりラクですよ」と芝保さんは笑いながら語ります。

分身の術ができるといいな!

島の人たちとのお付き合いについて、芝保さんは特に気を遣わずのびのびやっているとか。「島は都市と比べて人間関係が濃いとは思います。まあ、好きな人たちと好きなように付き合っているし、精神的にはかなりゆったりしてます」とのことですが、実際この島に来てから家族同然に付き合える人ができ、島内のカフェ仲間との絆も深まって、本当に楽しい毎日なのです。お店で余ったものをご近所におすそ分けすると野菜や魚になって返ってくるという、あったかいご近所付き合いも自然にやっています。
佐久島暮らしを一言で言えば、「日々充足」。営業日には朝から和菓子づくりやかまどでのごはん炊き、ドリンク類(自然のもの、手づくりのもの)の準備をして、夕方まで開店。休みの日は畑仕事。それ以外にも、島の中での役割、島の行事への参加、仲間とのイベント企画&開催など、やることがいっぱいで、「充足しすぎてます。私がもう一人いるといいんだけど。分身の術ができるといいな」と思ってしまうほどです。
目標を尋ねると「ありません」との答え。「目の前のことだけを見て、それに没頭しているから」だそうです。でも、よりよくしたいと思っていることはあります。それは、キッチンをもう少し広げることと、今やっていること(畑など)をもっとちゃんとやること。
今を大切にする佐久島ライフ、これからもエンジョイしてください。