佐久島ライフ・レポ Vol.3


カフェ百一 hyakuichi 中村 眞由美さん

毎日笑って暮らす、ゆる~り島ライフ

2015年の3月に遊びに来たのが佐久島との初の出会い。それからあれよあれよという間にこの島でお店を出す話が進み、その年の9月にはもうカフェをオープン! 西地区の高台にある眺めのよいカフェ「百一」が、眞由美さんのお店です。港のそばのカフェって、独特の風情がありますね。でも、いったいどういう経緯で眞由美さんはこの島で暮らすことになったのでしょう?

港のある風景が好き

眞由美さんは名古屋出身。学校を卒業後は東京の会社に就職し、照明器具の商品開発に携わりました。その後、小豆島で半年間、地域おこし協力隊の活動をしました。「祖母が長崎出身だったせいか、海や港のそばの雰囲気が好きで、そういう場所で何かがしてみたかったんです」とのこと。
以前から飲食の仕事がしてみたいという想いがあり、小豆島から戻った後、それを叶えるべくカフェを開こうと動き始めました。佐久島を家族旅行で訪れたのは、ちょうどその頃のことです。そのときはお店を構える場としては全く考えず、「住み心地のよさそうな島だな~」と思っただけでした。小豆島ほど大きくなくてのんびり過ごすのにちょうどよく、港の雰囲気もおばあちゃんの故郷とそっくりだったからです。

半年後にはカフェオープン

ところが名古屋や豊橋で候補地を探しても気に入る場所に出会えず、街の中であくせくするぐらいなら、いっそ佐久島でお店をやるのもアリかなと考えるようになりました。そこで6月に佐久島振興課に連絡し、空家探しのため再び来島。わりと気軽な気分で訪れたのですが、「島に着いたら5人くらいの人が待ちうけていて、わあっ逃げられない、と思っちゃいました(笑)。でもビックリしただけで逃げる気はなく(笑)、親身に相談にのっていただけたことに感謝しています」と、眞由美さんは当時を思い出してまた笑います。
それから3度ほど来島したところで家も見つかり、信じられないほどすみやかに移住&カフェ開店。初めての来島からわずか半年後の、9月のことでした。

生活スタイルは一変

お店を始めたこと自体が全く新しいことですが、生活環境やスタイルもこれまでとはガラリと変わりました。なにしろ時間がゆったりと流れる島での暮らしですから。都会との違いを実感するのは、助けてくれる人が何人もいること。街でお店をやってもご近所の人は助けてくれませんが、この島ではいろいろな人が気遣って手をさしのべてくれます。
島の人たちがやさしく迎えてくれたので、コミュニティにはとけ込みやすかったとのこと。移住の先輩やカフェ経営の先輩とすぐに親しくなったおかげで、島の行事にもスムーズに参加できました。一緒に佐久島太鼓の練習をするようになり、そこで漁師さんたちとも知り合うなど、少しずつ新しい出会いが増えていきました。
離島生活が不便だとはさほど感じないそうです。「都会のようにいろいろなお店がないので、購買意欲は減ったかも? ムダ遣いはしなくなりました。通販は利用しますけどね」と眞由美さん。「夜は早く寝るようになったかな。テレビもほとんど見なくなったんだけど、冬に島の人からコタツをいただいて…。コタツとテレビって相性がいいから、最近また見るようになっちゃいました(笑)」

気負わないカフェ経営

心地よい和空間のカフェ「百一」ですが、意外にも特別なこだわりはなく、気負わずゆる~りとやっているのだそうです。ドリンクメニューは決して多くなく、フードは軽食のみで、「自分がおいしいと思えるものを出しているだけ」なのだとか。…そうはいってもコーヒーは自家焙煎だし、抹茶ラテの抹茶は西尾産だし、ケーキもパンもたいてい手づくりなんです!(佐久島にはパン屋さんも洋菓子屋さんもありません)
気負わないといえば、このお店では注文時に会計を済ませるので、あとはお客様が好きなだけのんびり過ごして好きなときに出て行くことができます。ゆるいですね~。
カフェがちょっとずつ増えているとはいえ、来島者が多い日はたちまちキャパを超えてしまいます。そんなときはカフェどうしで連絡を取り合って、お客様に他のお店を紹介! これもこの島ならではの、ゆるやかなカフェスタイルですね。

ごんぎつねは誰だ?

もちろん島の人たちもお店を訪れます。ふらりと裏口から入って表から出て行く人もいるそうです。まさにご近所の家にお茶を飲みに立ち寄ったみたいな感じ。そんな気安い雰囲気のお店ってことでしょうね。
時々、まるでごんぎつねの仕業のように、玄関先や裏口に野菜が置かれていることがあります。最初は誰が置いていったのか分からなかったのですが、今では袋を見れば分かるようになりました。それで眞由美さんも、パンを持っていって置いてくるのです。
「自分でも驚くほど島ライフを楽しんでいます。けっこう毎日笑って暮らしているんですよ」…そんなふうに満面の笑みで語れるなんて、とっても素敵ですね!