佐久島ライフ・レポ Vol.1


Cafe OLEGALE(カフェおれがれ) 加藤 麻紀さん

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お店は島暮らしを楽しむ拠点

出会いとアクションをサポートする場に!

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■島に来るまで&来てから

麻紀さんの出身地は岐阜県の中津川市。中山道の宿場町として栄えた山あいの美しいまちですが、海はありません。佐久島へ海水浴に来たとき、海の家で一人の島の青年と出会いました。それが現在のご主人です。彼は素潜り漁師。すぐに結婚が決まり、漁師の嫁として島で暮らすことになったのですが、結婚までがあまりにもスムーズ&スピーディーだったせいか、離島生活というものを特に意識していなかったそうです。

それまでの暮らしとは全く違うことを痛感したのは、島に来てすぐでした。家事はもちろん、漁の手伝いもあるし、島の濃厚な人間関係にも直面。やがて子育てにも追われるようになり、のんびりする暇はほとんどなかったそうです。家のことで手いっぱいのためあまり外に出ないせいか、お嫁に来て何年も経つのに、「あれはどこの人だん?」と話す島の人の声が聞こえてきたりするのです。実家もけっこう田舎だったという麻紀さんですが、山あいとは違う島の空気に慣れるまでには少し時間がかかりました。

島には同世代の人が少なく、友達をつくるのは簡単ではありません。この島では、お嫁さんが外に働きに出るという考え方も、少し前までは歓迎されませんでした。当初は戸惑うことばかりでしたが、理解あるご主人の存在がいつも大きな救いだったといいます。

 

■ついにお店をオープン

子育てが少し落ち着きはじめた頃、麻紀さんにとって二つの大きな出来事が起こります。一つは名古屋から来た若い女性と親しくなったこと。カフェ&農業をするため島に足しげく通いはじめたその女性とは、「もんぺまるけ」の神谷芝保さんです。芝保さんは佐久島暮らしの先輩である麻紀さんを頼りにし、麻紀さん宅でいつも一緒に夕食を食べるほどの仲に。「仲間ができたというか、家族が増えたという実感がありましたね」と麻紀さんは語ります。

そしてもう一つは、麻紀さん自身がお店を開業すると決めたこと。これは、ご主人の応援があってこそのプランです。二人でイキイキと暮らしたいのはもちろん、定収入ではない漁業だけに頼らず、安定した経済生活も考えたからです。お義父さんとお義母さんも、若夫婦の意思を尊重してくれました。

お店は、ご主人が獲った新鮮な魚介をたっぷり用いた家庭的な料理をはじめ、ユニークなドリンクや自家製デザートなどを提供するカフェ。今では観光客や島の人たちはむろん、移住者や仕事で島に来た人たちも立ち寄る憩いの場となっています。

 

■出会いを応援、人をサポート!

今この島では、若い人の手掛けるカフェが充実しつつあります。ほとんどがIターン(移住者)によるものです。芝保さんに続いて、麻紀さんのお店で家族いっしょに晩ごはんを食べるようになったのは、カフェ百一の中村眞由美さん。それぞれ仕事が忙しいので毎日とはいかないけれど、できるだけ家族団らんのひととき(!)を過ごすようにしているそうです。

最近、そんな仲間がさらに少しずつ増えはじめています。何人かが集まれば、面白い話や計画も飛び出します。島暮らしをより面白くする「何かがしたいね」と、盛り上がるのです。「私は自分が独自で何かクリエイティブなことをするよりも、むしろそういう人をサポートするのが性に合っていると思うんです」と麻紀さん。「そういう人たちを引き合わせたり、そういう想いを実現する手助けをしたり。もちろん、私もちゃっかり一緒にやりますけどね(笑)」

楽しいことをする、今しかできないことをする、島の人に迷惑がかかることはしない、島の人にも楽しんでもらいたい、できれば島の人とも一緒に何かしたい…それが麻紀さんと仲間たち(家族たち!?)のポリシーです。その想いの第1弾が、2016年10月にマルシェという形で実現しました。「佐久島39の市」という名の手づくりマルシェです。このマルシェ、まだまだ続きます! 「ほかにも楽しいこと面白いことがあればやっていくよ~!」

 

■佐久島で暮らす、しあわせ

「お店は活動の拠点」だと麻紀さんは言います。お店があるからこそ、人が集まる。面白い発想が生まれる。行動を起こす出発点になる。何かをする意味ややりがいを実感できる…そんなふうに思うようになった麻紀さんは、今さらながらそれを「この島のおかげ」だと感じているそうです。

「自由に好きなことをするようになって、ようやくこの島のすばらしさに気付いた気がします。ああ、この島だからこういう楽しい発想ができるんだなって。季節の変化がある、都会の慌ただしさはなく、自然がいっぱい。ここで暮らすのってホントに幸せなことなんだと心から思います」と、しみじみ語ってくれました。

 

2016年12月